4.1 終身保険を使った対策

保険イメージ母と幼児

4. 保険の上手な活用法(個人)

4.1 終身保険を使った対策

終身保険は、いろな活用法があります。 以下にある方法は、いつ死亡したとしてもかならず死亡保険金が支払われる終身保険の特徴を活かした対策です。

保険イメージ母と幼児

(1)相続税の非課税枠を活かす対策
父が自己に保険をかけて相続に備えるオーソドックスな手法です。
相続税の適用となりますが、法定相続人を受取人にしておけば、大きな非課税枠があり相続税の節税となり、かつ納税資金の準備にもなります。
非課税枠は、法定相続人数✕500万円です。

保険料負担者 保険契約者 被保険者 死亡保険金受取人
子(など法定相続人)
(2)遺産争いに備える遺留分対策
組み合わせは、(1)相続税の非課税枠を活かす対策と同じですが、受取人を”跡取り”に指定して遺留分請求に備える手法です。
遺留分制度は、偏った相続を是正する民法上の制度で、子であれば本来の相続分の半分までを最低限の取り分として保証されます。
例えば、大きな地主さんや会社オーナーは跡取りに大半の資産を相続させることが多いですが、このような場合でも、相続人は遺留分請求により、相続財産を得ることができます。
逆に親から見ると〇〇家繁栄のために、跡取りに財産を相続させたにもかかわらず、分散する要因となります。
終身保険の受取人を”跡取り”にしておけば、死亡保険金は遺留分請求の外となり、かつ遺留分として支払う財源として使うことができます。

保険料負担者 保険契約者 被保険者 死亡保険金受取人
跡取り(など法定相続人)

(注)死亡保険金は、相続税法では「みなし相続財産」ですが、民法では本来の相続財産ではありません。そのため、跡取り以外の相続人が保険金を受け取っていても、財産の大部分を受け取った長男に対しては遺留分の減殺請求を起こすことができます。従って、跡取り以外の相続人を死亡保険金の受取人にすることは、遺留分対策としては全く無意味なことになります。

(3)保険料贈与で次世代の相続に備える対策
親世代が高齢のため終身保険に加入できない場合に活用できます。
保険料を親から子に毎年贈与して、子は契約者となり自分に保険をかけます。
親から子への保険料贈与には贈与税がかかりますが、110万円以下は基礎控除として贈与税はかかりません。
また資産が多い親が贈与することにより、親の総財産は減るため親の相続税対策になります。
子としては、自ら保険料を負担せずに終身保険を、子から孫世代への相続・相続税対策として活用できますので、一石二鳥です。

保険料負担者 保険契約者 被保険者 死亡保険金受取人
孫(または子の妻)
(4)一時払終身保険で直前の相続対策として
一時払終身は、月払いや年払いに比べて加入年齢の上限が高くなっています。
保険料は高額になりますが、支払いが可能であれば、直前の相続対策としても活用できます。
一時払といっても終身保険ですから、相続税の対象として非課税枠を使うことも可能です。

保険料負担者 保険契約者 被保険者 死亡保険金受取人
子(または法定相続人)
(5)あえて相続税課税を避けて一時所得扱いにする方法
親世代の財産がかなり多く、相続税の最高税率近くまで行く場合には、(1)相続税の非課税枠を活かす対策に加えて、あえて子世代の一時所得扱いにする方法もあります。
保険料は毎年父から子に贈与して、父の財産を着実に減らしていきます。子は契約者となり、父の死亡により死亡保険金を受取ります。
このパターンでは一時所得となり、死亡保険金から50を引いて2で割った額が、子の総合課税となります。
子はこの資金でもって親の相続税の納税資金とします。 なお他の所得と合算しての総合所得課税となるため、子の所得が多いと負担が大きくなり注意が必要です。

保険料負担者 保険契約者 被保険者 死亡保険金受取人
子(または法定相続人)

※一時所得額=(保険金額-50万円)÷2

この他にも、終身保険を貯蓄の代わりとして使う方法もありますが、現在は予定利率が低いく有利ではないため説明は省略します。

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