6. 法人契約の対象商品
6.4 逓増定期保険のポイント
逓増定期保険は、定期保険の保障額を経過年数に応じて増額するものです。 定期保険の派生型ですから満期保険金はありませんが、長期平準定期保険と同じく大きい解約返戻金が見込めます。長期平準定期保険と比べると、解約返戻金のピークが早くかつ短くなっていて、比較的短期間での対策に活用されています。
逓増定期保険には、次の条件を全て満たすと該当します。
- 保険期間満了時における被保険者の年齢は45歳を超える
- 保険期間において保険金額が5倍の範囲で増える
なお、平成20年2月27日以前契約分は、60歳を超え、かつ、当該保険に加入した時における被保険者の年齢に保険期間の2倍に相当する数を加えた数が90を超えるものと規定されています。
逓増定期保険のメリット・デメリット
逓増定期保険は、長期平準定期保険と比べ短期間に効率よく損金に計上し解約返戻金を得ることが可能です。効果が高い反面、これを抑制するための規制措置があるので、注意が必要です。
メリット
・保障額は増えるが保険料は一定
・実質的な戻りである解約返戻金が多い
・解約返戻金のピークが早く来る。効果が出やすい
・実質的な戻りである解約返戻金が多い
・解約返戻金のピークが早く来る。効果が出やすい
デメリット
・高齢での再加入には向かない。謝絶の場合がある
・効果を抑制する規制措置がある
・保険料は相応に高いため資金準備が必要
・効果を抑制する規制措置がある
・保険料は相応に高いため資金準備が必要
逓増定期保険の保険料の税務処理
逓増定期保険は、契約期間の前半では、保険料の一部を損金、残りを前払金として処理します。
後半では、保険料の全額と前払金を分割して損金にできます。 保障期間全体では保険料は全て損金にできます。
長期平準定期保険の保険料の税務処理
保険契約者 | 被保険者 | 死亡保険金受取人 | 保険料の損金計上 |
法人 | 役員 | 法人 | 保険料の1/2損金、1/2前払金 または保険料の1/3損金、2/3前払金 または保険料の1/4損金、3/4前払金 |
前半と後半の分かれ目は次のとおりです。
契約期間の前半6割 | 保険料の1/2損金、1/2前払金 または保険料の1/3損金、2/3前払金 または保険料の1/4損金、3/4前払金 |
契約期間の後半4割 | 保険料の全額損金及び前払金の期間按分による損金 |
前半期間に損金にできる割合については、期間満了時の年齢などによって決まります。
期間満了時の年齢が80歳超で、算出合計額が120を超える | 保険料の1/4損金、3/4前払金 |
期間満了時の年齢が70歳超で、算出合計額が95を超える | 保険料の1/3損金、2/3前払金 |
上記以外の逓増定期保険 | 保険料の1/2損金、1/2前払金 |
※算出合計額の計算は、「保険加入時の年齢+保険期間✕2」で計算します。
豆知識-当初に全額損金にできない理由
,は、年齢が若いほど安く、年齢が高いほど高くなります。
逓増定期保険ではさらに年齢が高くなるほど保障額が増えるようになっています。 これを一定の保険料で賄おうとすると、年齢が若い時期は保険料を払いすぎていることになります。
逓増定期保険ではさらに年齢が高くなるほど保障額が増えるようになっています。 これを一定の保険料で賄おうとすると、年齢が若い時期は保険料を払いすぎていることになります。
後半高くなっていく保険料を前倒しで払っていることは長期平準定期保険と同じですが、逓増定期保険ではさらにレバレッジが働くように設計されています。
このため、前半6割の期間では、1/2損金と制限されているうえに、年齢によっては1/3損金や1/4損金とより規制をかけているのです。